院長コラム

歯科医院における感染管理について

先日、読売新聞に「歯科医院の7割が、歯科治療に使う切削器具(歯を削る器具)を滅菌せず使い回し。」というショッキングなニュースが出ておりました。残念ですが事実のようです。

先に申し上げておきますが、当院では7〜8年前より滅菌機器を導入しています。当時、日本ではまだ手に入らない機器でしたが、当院より患者様に感染をさせてはいけないとの一心での導入でした。感染管理についてのより深い知識の習得と情報収集のため、スウェーデンでの研修などにも参加し、ヨーロッパの高い感染管理基準に比べ、日本の基準の低さをつくづく痛感したことを覚えております。

さて、話を本題に戻します。
以前から、この滅菌に関する問題は指摘されていましたが、改善されないまま今に至ってしまっています。何故、切削器具の滅菌がなされないのか?その一番の理由は、切削器具を滅菌するための機器が高価なため、費用対効果が望めないことにあります。切削器具のような精密機器を滅菌するには、専用の特殊機器が必要です。また、患者様ごとに切削器具を滅菌する場合、診療時間中にその都度滅菌処理しなければならないのでスペアの切削器具を多数用意しておく必要が生じます。結果、滅菌機器導入には必然的に高額な費用がかかってしまいます。それに見合う収入が得られないことが、導入の足かせとなっているのです。

ニュースにあったようなこの状態は、徐々に改善されつつあるようですが、出来ることなら国の指導のもと、一気に改善される事を願っております。こういった事態に危機感を感じて、国が滅菌機器導入のためのサポートをしてくれるようになれば、患者様がもっと安心して治療を受けられる環境が整うのではないでしょうか。