歯ぎしりはインプラントに影響しますか?

歯ぎしりは早めの改善が必要

歯ぎしりとは、主に就寝時に歯と歯をすり合わせて音を出すことをいいますが、強い咬みしめや食いしばりも含まれます。これらは、インプラントにも天然歯にも悪影響を与えます。原因には、歯並びや咬合の不全、咬合に関わる筋肉バランスのずれなどがあります。症状が習慣化すると、歯のすり減りや破損、さらに歯の動揺をきたし、最悪の場合、抜歯に至ることもあります。また、筋肉の緊張による頭痛や肩こりの原因にもなります。

歯ぎしりのある方のインプラント治療では、歯ぎしりの原因確認と症状改善の後にインプラント治療を始めます。これによりインプラント埋入後の歯ぎしりによる悪影響を軽減できます。一方、歯の欠損で左右の咬み合わせがずれてしまった場合は、インプラント埋入後に上部構造の仮歯の段階で咬合を修正し、歯ぎしりを予防します。

長期的に適切な咬み合わせを維持するために

インプラント治療で使用される上部構造(人工の歯)の材質は、以前はセラミックとレジンの混合材や金属などが主流でした。これらで作られた上部構造は比較的柔らかいため、長期間の使用で少しずつ摩耗、変形していき、やがてご自分の体に合った咬み癖が出来上がります。しかし、これらの素材は、長期にわたる使用により、奥歯の咬む高さが次第に低くなってしまうという欠点がありました。そのため、前歯に残存歯がある場合には、その残存歯が咬合負担により動揺してしまうケースも見受けられました。

●歯ぎしり予防にはマウスピースを

最近は、それらの材質に代わりジルコニアという素材が使われています。この材質は、鉄のセラミックと言われるほど堅く壊れにくいのが特長で、上部構造の咬む高さが変わらず長期間安定します。しかし、咬み合わせが正しくないと歯ぎしりをおこし、上部構造の破損や反対側にある天然歯の動揺をもたらしてしまいます。天然歯とインプラントでは、それぞれすり減りの速度が違いますので、混在した場合、治療当初のインプラント装着時には咬み合わせが適切でも、数年後にはバランスが崩れてしまうことがあります。
本数が多いインプラント治療では、これらの症状が多く見受けられます。このような場合には、まず上下の正しい咬み合わせを再構築し、次に夜間の異常咬合防止にマウスピースの装着をおすすめしています。最近は、咬筋へのボツリヌストキシン注射(保険適用外治療)により、咬合の力を分散させ、筋肉の緊張を和らげる方法もあります。

いずれにしても、癖のある咬み合わせの方には症状が出やすいので、長年の習慣的な咬み合わせに応じた咬合回復を長期的かつ定期的に行うことが大切です。