トラブルの多くはインプラント周囲炎
インプラントは長期間の使用が可能ですが、何もせずに一生持つということはありません。お手入れの状態や患者さまの既往症、口腔内環境により寿命は異なります。30年間、良好な状態を保っている方もいれば、半年ほどで骨吸収を起こしてしまう方もいます。
インプラント本体の不具合には、ネジの破損やインプラント周囲炎(歯周病)による脱離などがあります。インプラントのトラブルの一番の原因は、インプラント周囲炎によるものです。歯茎周囲の炎症から始まり、症状の進行とともにインプラント周囲の骨吸収が進み、インプラント本体が動揺し、やがて脱離を招きます。インプラント周囲炎の予防には、何よりもご自身による正しいブラッシングが必須ですが、口腔内の歯周病菌の数は、インプラント部分だけをいくらブラッシングしても減りませんので、お口全体の環境改善が必要です。
もし、インプラントが抜け落ちてしまった場合でも、患部の汚れや感染した組織を掻き出す治療を行い、清潔な状態を作り、骨の自然な再生を待てば、再埋入することが出来ます。一度インプラント周囲炎に感染すると、インプラントを取り除かない限り骨の吸収は進行しますが、インプラントを取り除けば、骨は自力で再生します。骨の再生が不十分な場合でも、骨造成など別の方法で再埋入に耐えられるように骨の土台を作ることも可能です。
咬み合わせの変化によるトラブル
上部構造破損の原因としては、下あごが本来あるべき自然な位置にない場合や、歯ぎしり・加齢による咬み合わせの変化など、咬み合わせの調整不足が挙げられます。
上部構造の素材であるジルコニアはとても硬く、ご自身の歯とは摩耗具合が違います。このため、年月の経過とともに天然歯が摩耗し、咬み合わせのバランスを崩すことがあります。やがてインプラントに加重負荷が生じ、上部構造の破損を招きます。

他にも、ご本人の免疫力の低下や服薬、喫煙などの生活習慣が影響を及ぼすこともあります。
いずれにしても、インプラントを長期間維持するには定期検診が必須です。異変を早く発見できれば、治療の選択肢も広がります。また、咬み合わせは口腔内だけの問題ではなく、全身の一部として捉えることが大切です。