院長コラム

インプラント治療への変わらぬ使命感 〈1998年の記憶〉

最近、お取引先の方から大変懐かしい「データ」をいただく機会がありました。それは今から28年前の1998年、世界的なインプラントメーカーであるノーベルバイオケア社の医療従事者向け冊子に、私が寄稿した記事の紙面データです。

タイトルは「プエルトリコ インターナショナル・チームデーに参加して」。
1997年の11月に、プエルトリコで開催された、ブローネマルク・システム(近代インプラントの基礎となったシステム)のインプラント世界大会に、当院のスタッフ4名と参加した際のレポートです。

記事を読み返すと、長旅の記憶や現地の空気感が鮮明に蘇ってきます。当時は、インプラントの生みの親であるブローネマルク教授が初めてインプラント治療を行ってから33年が経過した頃でした。それまでは「いかに骨に固定させるか」が中心だったインプラント治療が、その頃には「天然の歯との調和(審美性)」や「歯周組織(ペリオ)との調和」へと大きく進化を遂げようとしている時期でした。

当時の私が、記事の結びに書いた言葉があります。
「さて、患者さんに目をやりますと、『自分の歯で一生咬みたい』『一生天然歯と同じような感覚で咬みたい』等の欲望は、今後ますます強くなるかと思われます。この要望に答えるためにも、今、過去の歴史より学びつつ、このインプラントのうねりをつぶさず、ますます大きくすることが今現在、私たちに与えられた使命と思われます。」

1990年代からインプラント治療に取り組み始め、気がつけば四半世紀以上の歳月が流れました。技術はさらに進歩し、デジタル技術の導入などによって、現在はさらに安全で精度の高い治療を提供できるようになっています。
しかし、この古い記事を読み返して気がついたのは、「患者さんに自分の歯のように咬み、人生を楽しんでほしい」と願う私の根本の思いは、1998年のあの日から全く変わっていないということです。

当時プエルトリコで感じたあの熱意と初心を忘れることなく、これからも目の前の患者さんお一人おひとりと誠実に向き合い、確かな医療を提供し続けてまいります。